2017年漫画アカデミー賞をやってみた【個人的に】

漫画アカデミー賞を作ろうという増田の企画が面白そうなのでやってみました。

anond.hatelabo.jp

作品賞…総合評価、現状の漫画賞と同一。

作者(ネーム)賞…優れた漫画を演出した作者に贈られる賞

男性主人公キャラ賞…印象に残った男性主人公キャラが受賞

女性主人公キャラ賞…印象に残った女性主人公キャラが受賞

作画賞…優れた漫画作画に贈られる賞

美術賞…優れた背景・小道具・大道具・機械美術、デザインに贈られる賞

脚色賞…優れた小説やドラマ原作の漫画に贈られる賞

擬音賞…優れた擬音表現・音に関する描写に贈られる賞

短編漫画賞…20ページ以下で完結する優れた短編漫画に贈られる賞

脇役男性キャラ賞…脇役キャラに贈られる賞

脇役女性キャラ賞…脇役キャラに贈られる賞

視覚効果賞…優れた漫画表現に贈られる賞

脚本賞…優れた物語、セリフ描写の作品に贈られる賞

外国語漫画賞…日本語翻訳された海外製漫画に贈られる賞

衣裳デザイン賞…優れたキャラクターの衣装デザインに贈られる賞

長編ドキュメンタリー賞…50ページを超える実録・ドキュメンタリー漫画に贈られる賞

短編ドキュメンタリー賞…50ページ以下の実録・ドキュメンタリー漫画に贈られる賞

キャラクターデザイン賞…優れたキャラクターのデザインに贈られる賞。

単行本デザイン賞…表紙美術、単行本カバーデザインに贈られる賞

特別賞…毎年贈られる賞ではなく、何らかの漫画への功労賞。新たな技法を編み出したとか。

 増田では、ノミネートされる作品はその年に発表された回、その年に終わった漫画。となってましたが、今回は1年間に読んだマンガから選出しました。

※注意事項

・一つの作品を複数の部門で選ぶこともあります。

・個人の独断と偏見で選んだ内容になっています。

 

作品賞…『モブサイコ100』/ONE

モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス)

モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス)

 

第62回「小学館漫画賞」(少年向け部門)受賞もしてる『モブサイコ100』。このマンガに賞をあげたい気待ちはよく分かります。連載は終わっても、埋もれてほしくないマンガです。ギャグマンガだと思って手に取らないのはもったいない。少年向けだと思って大人が読まないのはもったいない。みんなに読んでもらいたい作品なので、作品賞は『モブサイコ100』に決定!

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            (出典:『モブサイコ100』)

 

作者(ネーム)賞…『アオアシ』/小林 有吾

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

アオアシ(1) (ビッグコミックス)

 

Jユースを本格的に取り扱った漫画がないことに注目し、この漫画が企画されたそうです。最初は興味がなかった分野でこれだけ面白いストーリーが作れるんですね。試合中の心理描写一つ一つ、キャラクターたちの心情が深く反映されています。女の子のキャラクターが可愛いところもおすすめです。

 

男性主人公キャラ賞…『アオイホノオ』からホノオ モユル

アオイホノオ(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

アオイホノオ(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 

主人公が目立つ漫画が、少なくなってきましたが、ザ・主人公と言える活躍を見せているのが、ホノオモユル。既刊18巻でマンガも益々面白くなり、勢いは止まりません。ドラマもよく出来ていたので、続編もぜひお願いします。

アオイホノオ DVD BOX(5枚組)

アオイホノオ DVD BOX(5枚組)

 

 

女性主人公キャラ賞…『素適な彼氏』から小桜ののか

彼氏が欲しい女の子、小桜ののかちゃん。元気で頑張り屋さんで、表情がコロコロ変わってとにかく可愛いんです。河原先生の描く、女の子はみんな可愛いんですけど、一押しの主人公です。

 

作画賞…『わたしは真悟楳図かずお

楳図先生は、ホラーの劇画風の顔のイメージがありますが、『わたしは真悟』では、精密で、線がカッコいい作画をたくさん見ることができます。各話の扉絵は、一枚の絵としての完成度が高すぎて、もはやアート作品と言えるでしょう。

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            (出典:『わたしは真悟』)

 

美術賞…『映像研には手を出すな!』/大童澄瞳

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

 

優れた背景、デザインに贈られる美術賞に相応しい作品です。マンガを読んでるのにアニメーションを見ているかのよう。作画だけにとどまらず、セリフ回しも各タイトルも洒落ています。表紙デザインも良し『映像研には手を出すな!』という勢いのある題名もいいですね!という死角なしの作品です。

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        (出典:『映像研には手を出すな!』)

 

脚色賞…『バッカーノ!』/成田良悟/藤本新太

脚色賞とは、要はコミカライズです。『バッカーノ!』とはイタリア語で「馬鹿騒ぎ」を意味する言葉です。原作は小説で、アニメ化もされました。大筋はそのままに話の順番だけ変えた、アニメにわりと忠実なコミカライズ作品でした。

 

擬音賞…この世界の片隅にこうの史代

擬音賞は、『この世界の片隅に』のこのページです。

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            (出典:『この世界の片隅に』)

 

短編漫画賞…『第七女子会彷徨』/つばな

第七女子会彷徨(1) (RYU COMICS)

第七女子会彷徨(1) (RYU COMICS)

 

短編オムニバス作品です。このブログでも何回も紹介している、SF×女子高生×ギャグの奇想天外なSFマンガです。ありがちな雰囲気マンガではなく、しっかり会話で読ませます。金やんと高木さんのやりとりだけでも永遠に読んでいたいくらいです。

 

脇役男性キャラ賞…『モブサイコ100』から霊幻新隆

モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス)

モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス)

 

「霊とか相談所」を営む自称霊能力者の霊幻新隆。主人公の師匠です。主人公のモブの超能力を利用しながらも、精神的に彼を支える役割も果たしています。『モブサイコ100』は、中学生のモブの視点、大人の霊幻新隆の視点、その他の登場人物の視点がある群像劇風の作品です。霊幻新隆が出てくるシーンは、毎回期待を裏切りません。そして物語の構造上、彼の魅力のすべてを知るのは、神の視点で見ている読者だけなのです。

モブサイコ100 vol.001<初回仕様版>【Blu-ray】

 

脇役女性キャラ賞…『ブスに花束を。』から鶯谷すみれ

ブスに花束を。(1) (角川コミックス・エース)

ブスに花束を。(1) (角川コミックス・エース)

 

まず、『ブスに花束を。』は、少女漫画にありがちな、「はぁ…私ブスすぎて辛い…」と言いつつ、普通に可愛いくてモテる主人公が出てきません。田端花ちゃんという、少し自虐的な眼鏡女子が主人公です。表紙の左下、クラス1の美少女、鶯谷すみれちゃんは、表紙右上の上野くんに片思い中のライバル役です。しかし、そこもテンプレ通りじゃありません。アピールが上手くいかず、「おのれ田端ぁ」と悔しがるところが笑えます。すれ違いコントみたいな面白さが癖になるコメディマンガです。

 

視覚効果賞…『ピンポン』/松本大洋

ピンポン(1) (ビッグコミックス)

ピンポン(1) (ビッグコミックス)

 

視覚効果賞は、『ピンポン』です。あえて語る必要がないですね。

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              (出典:『ピンポン』)

 

脚本賞…『トクサツガガガ丹羽庭

トクサツガガガ(1) (ビッグコミックス)
 

優れた物語、セリフ描写の作品に贈られる脚本賞。「本を読みたい!TV観たい!帰って寝たい!はなぜ「用事」として認められないのか!」というシーンです。特撮オタク女子の葛藤を描いたこのマンガでは他にも、共感できるセリフが多々出てきます。特撮とストーリーの絡め方も秀逸で、テンポ良く読める楽しい作品です。

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              (出典:『トクサツガガガ』) 

 

外国語漫画賞…チーズインザトラップ

韓国のマンガで、日本では単行本化はしておらず、『XOY』というアプリで読むことが出来ます。大学生の女の子の恋愛話ですが、主人公の周りには自分勝手な人ばかりで常に迷惑をかけてきます。本性が分からない先輩との恋愛はどうなってしまうのか気になって、読み出したら止まりません。

xoy.webtoons.com

 

衣裳デザイン賞…あげくの果てのカノン米代恭

メイド服が可愛いのと、服をちゃんと重ねて着てる感じが伝わってくる作画が好みです。癖のある絵はそれだけでも個性で、SF×不倫というのも面白いけど、ちゃんと主人公がいい感じに可愛く思えるのは、顔だけじゃなくて服のおかげもあると思います。

 

長編ドキュメンタリー賞ど根性ガエルの娘/大月悠祐子

ど根性ガエル」の作者・吉沢やすみ先生の娘の大月悠祐子先生が、家族の衝撃エピソードを描きました。過去のことよりも、出版社を移って再出版したり、このマンガを描いたことでも変化があり、それをまたマンガに描くという試みが面白いと感じました。

 

短編ドキュメンタリー賞…マンガ家再入門/中川いさみ

ギャグマンガ家の中川いさみ先生が、ストーリー漫画に挑戦するドキュメンタリー漫画。まず、はじめに、一流マンガ家の先生たちに話を聞きに行くことにしました。大友克洋先生、松本大洋先生、一色まこと先生、東村アキコ先生、糸井重里さんetc…そうそうたる顔ぶれです。この方々と対談して、創作秘話をマンガでさらに面白く描いているのがこのマンガです。漫画好きの人なら必見の貴重な内容になっています。

 

キャラクターデザイン賞…/『おやすみプンプン』/浅野いにお

このマンガでは、主人公とその家族が、落書きのトリみたいな姿で描かれています。よく分からず読みはじめたものの、次第に慣れていきました。これまで浅野先生のマンガは、なぜか途中で興味がなくなり完走することができませんでした。『おやすみプンプン』を最後まで読むことができたのは、このプンプンのキャラクターデザインのおかげかもしれません。もしプンプンがプンプンじゃなく、普通に顔のあるキャラなら、すぐに読むのを止めていたような気がします。

 

単行本デザイン賞…青野くんに触りたいから死にたい椎名うみ

レタリングで遊ぶデザインが増えてきました。その中でもやりすぎギリギリのバランスがカッコいいのがこちらの表紙。タイトルもよく分からないし、なんの情報も伝わってこないので、中身との落差がありすぎます。内容がわりとホラーなのに、色合いがキレイで爽やかなところもズルいです。

 

特別賞…HUNTER×HUNTER冨樫義博

2017年、連載が再開され、コミックも発売した『HUNTER×HUNTER』。34巻の巻末には冨樫先生の解説も載っていました。2018年1月からまた連載再開するそうなので楽しみです。

 

おわりに

勝手に人の考えた企画をやってみたわけですが、とても楽しかったです。

(もし、不都合があれば、ブコメで教えて下さい。)

1年間に読んだマンガから選んだので、前回の記事と被っていますが、部門に分けてみるのも面白いと思いました。

作品を評価するマンガ賞は各種あるので、作画や視覚効果に特化した、ページ単位の評価があるマンガ賞が出来ればいいですね。

受賞作品の原画展を開催したり、アートとしてのマンガ需要はもっとあると思います。